僕は元刑務官ですが、
「刑務官ってどんな仕事してるの？」
と、今もよく聞かれたりします。
確かにインターネットで調べても
あまり詳しいことは書いてないんですよね。
なので、僕も公務員試験のときに、
刑務官の情報を集めるのが
大変だったのを覚えています。
で、いまだに覚えてるのが、
「男のケツが好きなら刑務官になれ！」
という、ある掲示板のジョーク。
これ、たぶん”受刑者の入浴”のことを
言っていたのだと思いますが、
実際はどんな感じだったのかを
今回の記事で書いていきたいと思います。
ということで今回は受刑者の入浴についてです。
(補足：僕は男のケツに興味はありません。)
受刑者の入浴ってどんな感じ？
刑務官の仕事に、
“受刑者の入浴の立会”があります。
これ、そのまんまなんですが、
受刑者のみんなが大浴場で
体を綺麗にしてる姿を見る仕事です。
最初は全裸の男が目の前に30人ほど
隠さずにビシッと整列しているので、
ちょっと異様な光景でした。
まぁ毎日のように見てると
だんだん慣れてきて普通になってきますが。笑
ちなみに僕は、
銭湯とかで絶対に隠す派です。
だって単純に恥ずかしいし、
いろいろと自信がないので。
(なんの話？)
でですね、彼らの入浴は２～３日に１回程度で、
１回15分、入浴の日は工場での作業が終わると、
入浴してから自分たちの居室に帰っていきます。
１日の作業も終了し、
あとはゆっくりできるというわけですね。
しかも、入浴する工場も多いので、
工場ごとに順番に入浴していくんですが、
一番早いとだいたい14時半ころから入浴が始まります。
なので、最短で14時半過ぎに作業終了して、
お風呂に入ってお部屋に帰る感じです。
こうやって考えてみると、
どこぞのブラック企業よりも
ずっと時間にゆとりがありますよね。
まぁ刑務官の勤務時間内で
終わらせないといけないので
こうなるのは当たり前なんですが。
ただ、受刑者の作業時間も遅くなってきてるので、
日勤の刑務官が残業することも増えてきましたけどね。
入浴場は暑くて地獄だけどかなり暇だった？
あと入浴場はジメジメして暑いので、
早く解放されたくてうずうずしてました。
彼らは全裸だからいいですよ？
でも刑務官は官服を着て長靴を履いて
２時間とか入浴場にずっといるので、
ほんとに暑くて気持ち悪くなります。
勤務中は水も飲めないし、
特に夏は全身汗だくで地獄でしたよ。
で、この仕事も慣れるとかなり暇です。
まず入浴係の他に工場担当がいるので、
受刑者もピシッとしてます。
(工場担当＝受刑者をまとめているベテラン刑務官)
で、入浴係は各工場から入浴場まで
受刑者を連れてくる係の人もいますが、
ずーっと入浴場にいる場合もあります。
僕もずーっと入浴場で立会したことがありますが、
ほんとにただ立ってるだけでやることがありません。
せいぜい「入浴はじめ！」とか号令を掛けたり、
お湯を出しっぱなしにしていないか確認するくらいです。
勤務中に唯一気を付けることって？
唯一気をつけないといけないのが、
「カミソリの刃の紛失」です。
受刑者はT字カミソリが全員に支給されているんですが、
僕の施設ではカミソリ刃を取り外せるようになっています。
だいたい月１くらいのペースで
カミソリの刃を交換するんですね。
で、このカミソリの刃は使っていて
たまにポロっと外れてしまうことがあります。
すぐ見つかればいいですが、
刃物は刑務所で危険物扱いなので、
もし無くなれば大問題です。
入浴場の排水口の中まで
見つかるまで探すことになります。
聞いた話だと、
昔は嫌いな工場担当を変えさせるために
わざと無くす受刑者もいたそうです^^;
まぁ僕は３年ほど働いて、
無くなったことは一度もありませんが。
なので、カミソリの刃が取れないタイプか、
電気カミソリになればいいんですけどね。
ちなみに受刑者は、
電気カミソリを買うこともできて、
自分で持っている場合は、
T字は使わず自分の部屋で髭剃りをしてますね。
そうすることで、
たった15分しかない入浴時間を
少しでも多く確保することができますからね。
でも入浴中に気を付けるのは
ほんとにカミソリの刃くらいで、
基本的にはなにもありません。
なので、毎回時計を見ながら、
「早く終わらないかなぁ・・」
と、いつも考えていました。
好きなだけ刺青鑑賞ができるって？
あとは時間を潰すためにやることといえば、
受刑者の”刺青鑑賞”くらいですかね。
服を着ているみたいに首筋からお尻まで、
びっしり入ってる立派なものから、
なんかだか油性ペンでサラッと書いたような
「え、大丈夫？^^;」ってなるような作品まで
いろんな刺青が見れます。
腕に彼女らしき女性の名前を
入れている受刑者もいましたね。
先輩に聞いた話だと、
刺青の値段はピンキリですが、
立派な作品だと軽く100万円を超えるそうです。
(あれ？意外とみんなお金持ち？)
こういうのって、
普段あまり見ることがないので、
最初だけは面白かったですね。
ただこれもすぐに見慣れるので、
刑務官になって１ヶ月もすれば
珍しくも何ともなくなってきます。
受刑者が使うシャンプーの謎
あと面白かったのは、
受刑者が使う”シャンプー“です。
刑務所では受刑者みんなに
石鹸とタオルが支給されるので、
それを使って全身を洗います。
でも中には自分でシャンプーを買って
頭を洗うのに使っている受刑者もいます。
で、このシャンプーも種類があって、
- トニックシャンプー
- リンスインシャンプー
この２つから選んで買うことができます。
入浴中の受刑者を見ていると、
トニック６：リンス４くらいの割合で、
どちらもそれなりに人気です。
でも僕はあるとき思いました。
「全員坊主頭だよね？リンスいる？」
ということに。
確かに夏の暑い日にトニックシャンプーを使うと
頭皮がスッキリして気持ちいいというのはわかります。
でも、リンスインシャンプーを選ぶ意味が
僕には全くわかりませんでした。
一般に、リンスとコンディショナーはどちらも、主に髪の表面をなめらかにするものです。髪のすべりをよくすることで、キューティクルの傷みを防ぎ、パサつきにくくします。最近では、髪の表面層（内部）に浸透し、髪の傷みを補修するトリートメント効果を併せ持つタイプもあります。
出典：花王株式会社
リンスの効果はこんな感じですが、
彼らは常に坊主頭。
髪の毛もせいぜい２、３㎝とかです。
どう考えても彼らが、
キューティクルの痛みを気にしたり、
髪のパサつきに悩んでいるようには思えません。
もしかしたら、
トニックシャンプーよりも
泡立ちがいいのかもしれない。
・・とか、あまりにも暇すぎて、
こんなどうでもいいことを
ずっと考えていました。
そして僕の中でついに
それっぽい答えが見つかりました！
それは、
「甘い香りに飢えている」
ということです。
受刑者が普段使っている石鹸は無臭だし、
彼らの洗濯物を洗う洗剤も無臭です。
なので、体を洗ったときも、
綺麗になった服を着たときも、
爽やかなやさしい香りが一切しません。
僕らが普段生活していると、
街や電車ですれ違った人から、
ふわっと香水とかシャンプーの
いい匂いがすることがあります。
でも刑務所の臭いはなんというか、
畳にしみ込んだ”人間の油の臭い”というか、
汗臭いではないんですが独特の臭いがします。
とはいえ、夏場は汗の臭いもしますけどね。
それに刑務所の中は看守も受刑者もほぼ男しかいないので、
やさしくて甘い香りがすることはまずないです。
男性は女性のシャンプーの香りにドキッとしたりしますが、
受刑者達もそんな甘い香りにきっと飢えているのでしょう。
だから、坊主頭でも
リンスインシャンプーを買って、
香りに癒されているのだと思います。
なので、女性向けの良い香りがするシャンプーは
刑務所内でもけっこう売れると思うんですけどね。
ちなみに僕もシャンプーの香りは大好きです！
(どうでもいい情報)
ちょっと余談ですが、今回のように
「その商品はなぜ売れるのか？」
ということを常に考えると、
思考がかなり鍛えられます。
僕も物販をやっていて、
売れる商品が見つかるたびに
理由をよく考えてましたね。
これはどんなビジネスでも
超大事な考え方なので、
ぜひ覚えておいてくださいね。
ということで今回は
刑務所の入浴について書いてきました。
記事を書いてたら
久しぶりに銭湯に
行きたくなってきましたね^^
たまには広いお風呂でゆっくりするのも
リラックスできていいですよね。
ということで、
全力で隠しながら行ってこようと思います。
それでは！
今回のまとめ
- 入浴の仕事は暑いけどヒマ
- 入浴は週に２、３回で一回15分
- リンスインシャンプーも売れてる
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました！！
感想、コメント大歓迎です^^
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僕は公務員を辞めて個人で起業し、
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この記事では僕の公務員時代の苦労話や当時の思い、
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→安定と言われている公務員を辞めて起業するまでのストーリーを読んでみる
興味があればぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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